2019年11月 1日

インコタームズ 2010

インコタームズ 2010インコタームズ(Incoterms)とは、国際商業会議所(ICC)が制定した貿易取引条件とその解釈に関する国際規則(International Commercial Termsの略)です。

インコタームズが制定される1936年以前は、貿易取引条件の解釈がそれぞれの国で異なり、しばしばトラブルの原因となり、これらの齟齬を回避する目的で制定されました。

その後、商慣習の変化に伴って、数次の改訂を経て現在は2011年1月1日発効の「インコタームズ2010」が出されています。
前回改訂2000年版から10年ぶりの改訂となる今回は、輸送実務の変化、無関税の自由貿易国の拡大など時代の変化に合わせた構成や変更点がみられます。


インコタームズは、アルファベット三文字(例えば、FOB、EXWなど)で表され、売主・買主間の物品の引渡しに関する危険の移転の分岐点、役割や費用(運送の手配と運賃の支払い、保険の手配と保険料の支払い、通関手続きと費用の負担等)について、それらに関する基本的な条件を定めています。
ただし、支払われるべき代金や支払い方法、物品の「所有権」の移転時点、契約違反の結果などについては定めていません。

インコタームズ2010では、2000年版のDグループにあった4条件が廃止、新たに2つの条件を加えた合計11の規則で構成され、以下の2つのクラスに分類しています。

インコタームズ2010規則の2つの分類と11規則

  • 1.あらゆる輸送形態に適した規則
    (Rules for Any Mode or Modes of Transport)
    ・EXW Ex Works 工場渡し
    ・FCA Free Carrier 運送人渡し
    ・CPT Carriage Paid To 輸送費込み
    ・CIP Carriage and Insurance Paid To 輸送費保険料込み
    ・DAT Delivered at Terminal  ターミナル持込渡し(新設)
    ・DAP Delivered at Place 仕向地持込渡し(新設)
    ・DDP Delivered Duty Paid  関税込み持込渡し
  • 1.海上および内陸水路輸送のための規則
    (Rules for Sea and Inland Waterway Transport)
    ・FAS Free Alongside Ship  船側渡し
    ・FOB Free On Board 本船渡し
    ・CFR Cost and Freight 運賃込み
    ・CIF Cost, Insurance and Freight 運賃保険料込み

今回のインコタームズ2010では、長年にわたり、FOB、CFR、CIFの各条件で危険と費用負担の分岐点として想定されていた「本船の手すり(Ship's Rail)」の文言が削除され、物品の危険は「物品が本船の船上に置かれた」時に売主から買主に移転するとしています。

また、今日コンテナ輸送が主流を占めているにもかかわらず、長年にわたる商習慣により、コンテナ輸送による契約条件でもFOB、CFR、CIFを使用しているケースが多いのが実情ですが、インコタームズで、本船の船上に置かれる前に運送人に物品が引渡される場合、例えばターミナルで引渡されるコンテナに入っている物品の場合は、おのおのFCA、CPT、CIPが使用されるべきと解説しています。

なお、インコタームズは、これまで国際貿易取引に適用する規則として使われてきましたが、2010年版では国内での売買契約にも使用可能な規則とし、副題が、ICC Rules for the Use of Domestic and International Trade Terms(国内および国際取引条件の使用に関するICC規則)となりました。

これは欧州連合(EU)加盟諸国域内などでの取引や米国国内で「統一商法典」の代わりに使用しようとする動きを反映したものです。

ちなみにINCOTERMSはICCの登録商標です。

<引用:JETRO HP>

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